日本人ほど、“日本のココが悪い”という言葉が好きな民族もいないのではないでしょうか?
誰かが“日本人の欠点は...”と言うと真剣に聞き始めたりします。
しかし、どの民族にも特有の欠点と言うのはあるものです。そこに固執すると、解決策が見えなくなってしまいます。
もし私が今の日本でただ1つ、これだけは間違っていると言えるものを選ぶとしたら何か?それを正す方法は?それを考えて見ました。
“平中さんだから、MMTが受け入れられてないとかじゃないの?”と思われる方もいるでしょうが、そうではありません。もっと根本的なことです。
日本の経済はここ30年くらい、全く成長していません。
そこで、様々な評論家や経済学者、コメンテーター系の人にどうすれば日本の経済は伸びるのかと言う質問をすると、10人中8人くらいは以下のような回答をします。
“日本人は稼ぐ力がついていない。だからそれぞれが勉強して、自助努力をすることで稼ぐ力を身に付けることが日本経済が再興する道である。”
細かい違いはありますが、大まかに言うとこういう事を言います。
日本人の平均年収は今のところ、350万円前後のようです。日本人が平均として年収を増やしていけば、個々の集合で経済も成長していく。GDPも増えていく。そのためには自己向上である、と。
生産性を高める、ちゃんとしたマインド、英語の勉強あるいはイノベーションなど言い方は違いますが意味するところは同じです。
つまるところ、個人なり企業が勉強なり何かしらの自己改変をして収入を上げていき、結果としてみんなの収入が上がれば経済も大きくなっていく、というわけです。
これはまず、収入を得るとはどういうことかわかっていません。
あなたが収入を得るとは、誰かがあなたにお金を払っているという事です。あなた以外の他者があなたの生み出すサービスや商品に価値を見出し、それに応じたお金を払うことです。
誰かが収入を得るとは、誰かの収入が減っているのです。
自由競争の経済では、お金を稼ぐとはゼロサムゲームです。誰かの収入が減っているから、他の誰かの収入が増えているわけです。
ですから、自助努力でみんなの収入が100万円上がるとはありえないわけです。先ほどのように誰かの収入が上がるということは、誰かの収入が下がることだからです。
あえて言うと経済成長とは結局のところ通貨発行権を持っている政府が通貨を発行し、何らかの形でより多く流通させていくしかない、となります。
論より証拠といいますが、日本はここ数十年の間に公共投資の費用を削減するとか、技術投資の予算を減らすとかやってきました。
そして、ひとりひとりが自由だ競争だとやってきて、今の現状があるわけです。政府の支出量の増加とGDPの増加の相関性は昨今ではかなり色々な場面で見られます。
話を戻します。今の日本には、経済成長をするには個々が自己向上をすること、またいわゆる“成功した人”を1人でも多く生み出していくこと、と考えている人が本当に多いわけですね。
それこそ、英語を身につけろ、グローバルな人材になれ、ビジネスのメンタルを身につけろ、生産性を高めろ、と言った誰でも一度は聞いたことがあるような決まり文句です。これらは全て、“稼ぐ力を身につけろ”の亜種と言って良いでしょう。
ちなみに、政府が規制を下げるべき、とかイノベーションがと言うのも先ほどの決まり文句の亜種と言えます。
政府が規制を下げて、今までビジネスをするのに5つの規制があったのが3つになったとしましょう。それにより、新しいビジネスオーナーに毎月100万円が手に入るようになりました。当然ながら、どこかにトータルで収入が100万円減った人がいるはずです。根本的には言っていることは同じなわけです。
では、どうすればいいのでしょうか?
答えは、多くの国民が“自由競争の経済はお金のゼロサムゲームなのだから、個々が稼ぐ力を上げて全体経済が成長することはない。何らかの形で政府が通貨の流通量を増やしていく必要がある、”と理解することです。
しかし、それは一筋縄ではいかないでしょう。
先ほども言いましたが、今の言論空間を見るとインフルエンサーから評論家、学者だけじゃなく国会議員や官僚にいたるまで、そういう人が非常に多いわけです。
“30年間そうやってきてダメだったじゃないですか?”という意見も出てきており、長期の視点で見ている人には納得できることもあるようです。
しかし、今でもテレビやネットでは多いのは、競争力をつけろ、正しいマインドを持て、政府は規制を下げろ、イノベーションだという類の意見。
そうして日本経済は成長だという人を多くの人が耳を傾けています。
ここから、どのようにして“30年そうやってきてダメだったじゃないですか?”という意見が力を持っていくかが、今後のカギになりそうです。
最後まで、ご拝読ありがとうございました。
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