最近のMMT批判とインフレについて

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今年に入って、MMTに対する批判が盛り上がりました。批判の内容は、日本の経済がインフレして物価が高騰したのは積極財政のためだというわけです。

私は、それを聞いてちょっと反省する点がありました。

別に自分の言っていることが間違っていたとかMMTが間違っていた、というのではないです。

インフレについてあまり正しい説明をしていなかった。そのせいで誤解をさせてしまったかもしれない。そう考えています。

このブログを読んでくれている人はわかると思いますが、近頃の物価高は世界的なエネルギーの高騰が理由です。どの国も物価高に苦しんでいます。

それが何故か、コロナの時にやらざるを得なかったわずかな財政拡大が理由にさせられていたわけです。

もちろん、しっかり勉強されて、エネルギーの世界的な高騰と日本での物価高が因果関係にあると気づいている方も多いですが。

MMTを批判する意見に関して

まず、MMTに関して言えば現在の経済学では少数派で亜流ではありますが、経済を唯一まっとうに分析している理論と言えるでしょう。

そして、MMT批判を批判する。それをしっかりやっている方がいてすでにいい仕事をしています。

だから、私がここで云々いう事ではないように思います。その人たちに任せておけばいい気がします。

ただ、ほとんどのMMT批判には何というか、理解していないがために出てくる反論というのが多いです。

あたかも小学生が、“地球は丸いっていうけど、じゃあ丸い地球の上に乘っている人は平気だけど、下にいる人はどうして落ちていかないんでしょう?”と聞いてくるようです。

Youtubeなどを見ると、こういうつまらない反論がMMTへの凄い論破みたいに扱われて再生回数が多かったりします。

まあ、本当に丸い地球の“下”にいる人がなぜ落ちていかないのかを真剣に聞いているなら、ニュートンの万有引力の法則を教えてもいいかもしれません。

“宇宙には上も下もなく、中心に引き寄せる力があるんですよ。”と素直さに応じて説明するわけです。

しかし、勘違いをして“いかにも論破してやったり”みたいな場面に出ると萎えてしまいますし、他の議論好きな人がやってくれるんじゃないかなと期待してしまいます。

最近ですが、明らかに日本国民が賢さというか真実を求める心を失いつつある、と感じてはいます。

30年近くも緊縮財政で政府が予算を上げずに経済が成長しなかったのです。主流派経済学が間違っていたり外れた予想の事例、悪い結果は10や20ではないでしょう。

ところが、たった1つMMTのせいで悪い結果があったように見えると、MMTが袋叩きにされるのです。ある意味で面白い現象かもしれません。

それに、MMTを掲げる人は緊縮財政が続くと逆に財政破綻やハイパーインフレになると言っていました。経済が活性化せずに名目上の値段が上がるだけというのはあり得るとも言っていました。

これは私自身も書籍で、他のMMT賛成派の方も自分の言葉で言っていたので、全くだましていたわけではない気がします。

まあ、30年間も財政破綻するから緊縮財政とか、自由競争を取り入れれば経済は回復すると言い続けた人は全く責任を追及されていません。

その癖、ちょっと物価が上がればMMTが槍玉にあがり、勉強もせずにMMTのせいにされるわけです。

インフレとは何かについて

それとは別に、私はインフレに関してちゃんとした説明をしていなかったな、と思いました。

“なぜ、MMTは論争になるのか?”で私はインフレに関してこんな説明をしました。

インフレとは商品やサービスの値段が上がることで、デフレとは商品の値段が下がることである、と。

値段が下がるとは良いことに聞こえるかもしれないが、給料も下がるわけです。

だから長期的にはデフレは良くない。こんなことを言った記憶があります。

これは、あまり正確ではなかったと考えさせられました。

デフレとは厳密に言えば、需要が供給よりも少ない状態にあることです。値段や給料が下がるのはあくまでも結果のひとつです。

もっとざっくり言うと、釣りで言うならば池に100人の釣り人がいて、魚が90匹しかいない状態です。

100人の釣り人がこの場合は供給で90匹が需要となるわけです。

しかし、当然として釣り人としては何とかして90匹しかいない魚を100人の釣り人の1人として、釣りあげる必要があるのです。

ですから、90匹しかいない魚を100人の競争相手の中から釣らなければいけないから、何か手段を考えます。

いわゆる商品の差別化ですが、手っ取り早い差別化は値段をなるべく抑えることです。しかし、これをすると利益も下がります。

当然、経営者としては労働者の給料を安くしたり、労働者を長期労働に従事させたりしなければいけなくなります。いわゆるブラック化ですね。

つまり、デフレとは需要が供給を下回っており、値段が下がるとは結果として起きる事象にすぎません。

値段だけが上がっていくというのはデフレの状況でも、つまり90人しか住んでいない地域に営業マンが100人いる状況でも、あり得ることです。

では、このデフレを抜けて需要が供給と並ぶ、もしくは上回るにはどうすればいいか?営業マンが100人いる中で110人の住人を生み出すにはどうすればいいのか?

それは、また別の機会に書きます。

今回は、インフレについて色々と語りましたが、自分でも新しい学びはあるものだなあと考えさせられました。

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