緊縮財政が続くと財政破綻(ハイパーインフレ)になる②

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前回の記事で、お金の価値はどうやって決まるのか?

それについて、詳しく話をしたと思います。

現在の経済学が提唱するところでは、3つの学説があります。

  1. 貨幣の価値は、金や銀などの交換できる資源や現物で決まる。
  2. 貨幣の価値は、それを使っている人たちの貨幣への“信頼”で決まる。
  3. 貨幣の価値は、その地域の商品やサービスを生産できる能力で決まる。

商品貨幣論

理論 1.は商品貨幣論です。貨幣が1万円あれば1万円分の銀や金と交換できて、その金や銀あるいは取引可能な現物がその貨幣に価値を与えているという考え方です。

この説によると、人間社会の経済は物々交換で行われており、金や銀を別の商品と交換していたのが、利便性の観点から金銀が紙幣という簡易的で持ち運びやすい物に変わっていった、というわけです。

ただ、歴史において物々交換でない経済はたくさんあったわけです。ほとんどの経済は貨幣の制度を用いてきたわけで、それ以前は物々交換であったという記録はほとんどありません。

まあ、あえて“歴史上”の事実を語るなら金本位制はすでに撤廃されており、撤廃される以前から発行されている貨幣の量は生産されている金の量よりも遥かに多かったのです。

信用貨幣論-信用型

理論 2.は、貨幣の価値は“信用”で決まるという考え方です。つまり、1万円の価値が1万円紙幣にあるのは、その紙幣に1万円の価値があると人々が“信じている”からというわけです。

ちなみに、理論 1.は一般人に広まっている学説です。理論 2.は今の経済学における主流の説になります。

大学の教科書でも、“1万円の価値が1万円札にあるのは、人々が1万円の価値がそのお札にあると信じているからだ。”という旨のことが書いてあるようです。

まず“信用”というと、心理的な要因なので数値化や視覚化がしにくいわけです。ただ、格付け会社などが独自の信用ランクを設けたりしていますね。

そうしたランクがどのように付けられているかわかりません。A3ランクのアイスランドがある日突然デフォルトしたりしました。逆にB2ランクの日本がいつまでたってもデフォルトにもハイパーインフレにもならなかったりします。

それどころか、エネルギーの高騰で世界中の物品の値段が上がっている時に、日本はかろうじて4%に達したかどうかのインフレ率でした。

信用貨幣論-生産能力型

その中で、私が現実と整合していると考えるのは理論 3.は、お金の価値はその通貨が取引されている経済圏の生産能力で決まる、という考え方です。

例えばここにAという経済圏があり、そこにはたこ焼き屋が1つあるとします。年間に500円のたこ焼きを1万パック売って、500万円の経済規模が地域Aにはあるとします。

つまり、この地域Aには1年間に1万パックのたこ焼きを生産できる職人や設備があるわけですが、これがお金の価値となるわけです。

つまり、お金の価値が上がるとは、この地域Aで例えますが1年間で1万パックのたこ焼きを生産できていたのが2万パック生産できるようになった、ということです。

この生産能力とは生産量だけの話しではありません。今まで、ミシュラン1つ星のたこ焼きを1万パック生産できていたのが、ミシュラン3つ星のたこ焼きを1万パック生産できるようになった。こうした質の向上もそうです。

なぜ、これこそがお金の価値に最も大きく影響していると考えるのでしょうか?それは、この供給能力の増減が信用や金などの現物の総量よりも実際に価格に影響を与えているのを見るからです。

最近では日本でも価格の高騰が目立ちます。知っての通り、これは世界的な原油価格の高騰が原因です。原因のひとつとして、原油の流通量が減少していることが理由です。

あらゆる商品に使われている原油の生産量が減るから原油の価格も上がり、今まで同じものを100円で買えたのに150円払うようになったわけです。 つまり、日本円の価値が下がったわけです。別に、人が日本円を信用しなくなったから100円の商品が150円になったわけではありません。

お金の価値は、なぜ減るのか?

原油が足りなくなり、不足分を補うためにビジネスとしてはどうしても値上げしなければならなかったわけです。これは、わかりやすい物資の供給不足が値段に直接の影響を与えた例と言えるでしょう。

つまり、サービスや商品の供給量が低下し、それが値段に影響したのです。

通貨の信用が下がって値段に影響を与えると思われがちですが、むしろ最初に値段が高騰して結果として信用が下がるのです。

ここで最後に本題ですが、政府がお金を出さないということは公共事業などでインフラが整えられない、あるいは技術投資などで技術が確立されていかないことを意味します。

つまり、たこ焼き屋の例えに戻るなら年間で1万パックのたこ焼きを生産していたのが5千パックしか生産できなくなった。あるいは、ミシュラン3つ星レベルのたこ焼きを作れていたのに1つ星くらいのたこ焼きしか作れなくなったということです。

原油価格の高騰などは日本が産油国でない以上はある意味でどうしようもないことです。不足してしまえば、それに応じて値段が上がるしかありません。

しかし、それ以外の技術での設備やインフラ投資はどうしようもないことではありません。

技術の進歩で少量のガソリンでも車が長く走れるようになっていたりするのは、よく聞く話ですね。

何にせよ、“お金がない”とか“借金が増えるとまずい”という理由で、日本経済の生産能力が失われることになれば、それは本当にハイパーインフレか場合によってはデフォルトにもなってしまうでしょう。

最後になりますがまとめです。

  1. お金の価値は、金や銀など何かしら高価な物の量や価値で決まる。
  2. お金の価値は、それを使っている人がどれだけ貨幣を信頼してるかで決まる。
  3. お金の価値は、その貨幣が使われてる経済圏の生産力で決まる。

私は、今のところ理論 3.が現実との整合性が最も高いと見ています。

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